スマホ×脳・体・こころ

スマホ×脳

大量の情報を整理しきれず脳の活動が低下
放置すると「スマホ認知症」の恐れも

脳は、目や耳、鼻、皮膚などを使って取り込んださまざまな情報を絶えず処理しています。インターネット上のサイトや動画に含まれる情報量は膨大なので、スマホを長時間使うと、脳は大量の情報を処理しなければならず、疲労してしまいます。

また、テレビを見たり食事をしたりしながらスマホを触る「ながらスマホ」や、脳に休む時間を与えない「だらだらスマホ」は、さらに脳疲労を悪化させます。こうして脳の機能が低下すると、人や物の名前が出てこない、簡単な計算ができないなど日常生活に支障をきたす「スマホ認知症」になることも。意欲やコミュニケーション能力の低下、心身の不調につながる恐れもあります。

スマホからの大量の情報

インターネット上のサイトや動画などを見ているとき、脳は大量の情報を処理しています。

こんな使い方は特に避けたい

■何かをしながら扱う「ながらスマホ」

脳は複数の処理を同時に行うようにはできていないため、2つ以上の作業を同時に行う場合、1つ1つの処理を素早く切り替えながら行います。この状態は、脳にとって大きなストレスとなります。

■脳が休まる時間がない「だらだらスマホ」

本人はリラックスしているつもりでも、インターネットやSNS の情報をなんとなく閲覧したり、ゲームを楽しんだりしているとき、脳には大きな負担がかかっています。

情報量が多過ぎて脳が処理しきれなくなり、脳疲労につながります。

結果

”スマホ疲労”を放置すると認知症やうつ病のリスクが高まる

脳疲労が進むと、若い人でも「スマホ認知症」になる場合があります。アミロイドβ(脳内で出る老廃物)が蓄積することで発症するアルツハイマー型認知症などとは異なり、スマホ認知症はあくまで脳疲労が原因なので、スマホの使い方など生活習慣を見直すことで改善が可能です。しかし、放置すると、年を重ねてから認知症になるリスクが高くなるとされています。また、「スマホ認知症」はうつ病を合併しやすいともいわれています。

スマホ×体

座りっぱなしは疲労のもと

スマホに集中して、同じ姿勢で座りっぱなしでいること、ありませんか?長い時間座りっぱなしでいると、血流が悪くなり疲労につながります。

また、首には自律神経が通っているため、うつむいた姿勢をとり続けて首周りの筋肉がこると、リラックス時に働く副交感神経がうまく機能しなくなることがわかっています。さらに、目を酷使することで目の周辺の筋肉が緊張し続けると、交感神経を過剰に働かせることにもなるため、自律神経のバランスはますます乱れてしまいます。

あなたの座り方は大丈夫?

うつむき姿勢で首・肩・背中がガチガチに

人の頭の重さは、成人で約4~6kg。それを背骨と、首から背中にかけての筋肉で支えています。うつむいた姿勢では骨や筋肉にかかる負荷は数倍にもなり、首や肩のこり、頭痛などが生じます。

骨盤の後傾で腰痛に

いすの背にもたれかかってる座ると骨盤が後ろに倒れます。すると、全身のバランスをとろうとして猫背になったり、腰への負担が増して腰痛が発生したりします。

たまった老廃物が疲労のもとに

座った姿勢は、太ももの付け根の鼠径(そけい)部が圧迫されている状態。この状態では血液の循環が悪くなるため、老廃物が排出されにくくなって疲労を招きます。

スマホを見るときは良い姿勢で!

姿勢に気を付けるだけでぐっと疲れにくくなります。下のような理想の姿勢は、実は最も体に負担がかからない姿勢。仕事中や食事中を含め、普段から意識しましょう。

ストレート ネック(スマホ首)に要注意!

本来、首の骨は緩やかなアーチ状。しかし、長時間スマホを見てうつむいていると首が真っ直ぐ(ストレート)に近い状態になります。これが固定化すると「ストレートネック」、通称「スマホ首」となり、さまざまな症状が現れます。

スマホ×こころ

SNS上の人間関係がもたらすストレスが新たな疲労のもとに

楽しいはずのSNSで疲れていませんか?

日本では、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用者数が年々増加しており、普及率はすでに80%に達しています。SNSを使えば、広く世界中の人々とつながることができる一方で、知人の発信に反応しなければと義務感を持ったり、自分の発信にどのような反応が返ってくるかを過剰に気にしたりと、SNS上のコミュニケーションがストレスになることもあります。顔を合わせて会話する、電話で相手の声を聞くといった場合と比べると誤解やトラブルが生じやすいこともあり、SNS上の人間関係によって生じるストレスは現代人の新たな疲労のもとになっています。

  • 他人と自分を比較してしまう
  • 反応をきにし過ぎる
  • 知人・友人へのリアクションが義務に
  • 知りたくない情報まで見てしまう
  • 見栄を張ってしまう
  • 誹謗中傷や不愉快な書き込みにうんざり

疲労感を隠してしまう「いいね」には要注意

SNSに投稿した際に「いいね」がたくさん付くのはうれしいものです。
その気分の高揚や達成感は、疲労感をしてしまうことがあるため注意が必要です。そもそも疲労とは「これ以上頑張ると危険」ということを知らせてくれる生体アラームです。しかし、人間は前頭葉と呼ばれる、意欲や達成感と深く関わる部位大きく発達しており、達成感を覚えると疲労を感じにくくなってしまうことがあります。
SNSを利用するには、そのようなの特性を理解し、休憩もせずに没頭するといったことのないように気をつけましょう。

適度な距離が、良好なコミュニケーションのコツ

例えば非常に混んだ場所にいるときなど、人との距離が近過ぎると疲れが増すことがあります。これはSNS上でも同じ。親しい相手であっても、距離が近くなり過ぎると人は疲労を感じるものです。誰とでもつながることが可能なSNSだからこそ、適度な距離感を忘れないでいるのが良好なコミュニケーションを続けるコツといえます。

vol.61号【秋】の記事