もの忘れ疲労<第3回>記憶力維持に関わる栄養素と生活習慣

特集 もの忘れ疲労 第3回

取材・記事原案作成:Wellulu https://wellulu.com/

ここまでわかった!脳疲労や記憶力維持に関わる栄養素

時計と卵かけごはんのイラスト

「何を食べるか」に加えて「いつ食べるか」も脳の働きに大きく影響します。朝食を抜くと、午前中の脳のパフォーマンスが下がるという研究報告があります。特に育ち盛りの子どもや、集中力を発揮したい大人にとって、朝食をしっかりとることは記憶力の維持にも欠かせません。

古谷 彰子さん

Teacher古谷 彰子(ふるたに あきこ)さん

博士(理学)、管理栄養士

愛国学園短期大学准教授、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構招聘研究員。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチすることを専門とし、科学的根拠を基にしたライフスタイルへのアドバイス、実体験を基にした食育活動や講演活動、料理教室も行っている。『食べる時間を変えるだけ! 知って得する時間栄養学』(宝島社)、『決まった時間に起きて食べるだけ 10時間空腹リセットダイエット』(主婦の友社)など著書多数。

魚の切り身のイラスト

1DHA・EPA

DHA・EPAは、魚の油に多く含まれる「オメガ3脂肪酸」の一種。神経と神経のつなぎ目において情報伝達をスムーズにする、いわば「潤滑油」のような役割を担っています。

豚肉のイラスト

2ビタミンB群

ビタミンB1が欠乏すると、海馬の機能が低下し、脳内で炎症が引き起こされることがあります。ビタミンB6・B12・葉酸は、神経にダメージを与える物質の分解に必要です。

大豆のイラスト

3レシチン

人間の脳を構成する成分の中でも重要なリン脂質の一種。不足すると神経伝達がうまく働かなくなり、記憶力が低下したり認知症のリスクが高まったりする可能性があります。

カツオの切り身のイラスト

4トリプトファン

しっかり眠ることは、記憶力を保つためにも大切です。朝にトリプトファンを含む食品をとると、約14~16時間後に自然な眠気が起こりやすくなります。

きのこのイラスト

5ビタミンD

ビタミンDが不足している人は、認知症のリスクが高くなるという研究が複数報告されており、記憶に関わる海馬が小さくなることとの関係も指摘されています。

鶏むね肉のイラスト

6イミダゾールジペプチド

疲れや記憶力低下の原因にアプローチできる抗酸化成分。脳の血流を維持したり、脳の炎症を抑えたりする働きもあり、認知機能の改善にも関わると考えられています。継続してとることで、脳疲労軽減や認知機能維持が期待できます。

脳を健やかに保つにはイミダゾールジペプチド500mgがおすすめ!

近年の研究により、イミダゾールジペプチド500mgを継続摂取すると、記憶力が維持・改善されることがわかってきました。
東京大学大学院の久恒辰博准教授らの研究グループが行った臨床試験では、イミダゾールジペプチドの摂取により記憶テストの成績が有意に向上したことが報告されています。

Report臨床試験の概要

臨床試験の概要図。60~80歳の健康な人42名ずつの2グループが、イミダゾールジペプチド500mgを含むサプリまたはプラセボを6カ月継続摂取。摂取群は記憶力のスコアが有意に向上
条件

60~80歳の健康な人からなる2つのグループ(各42名)

検証

認知機能などのテスト
▼
6カ月継続摂取
・イミダゾールジペプチド500mgを含むサプリを1日2回
・イミダゾールジペプチドを含まないプラセボ(偽薬)
▼
認知機能などのテスト

結果

[記憶力テストにおいて]
イミダゾールジペプチド摂取群は記憶力のスコアが有意に向上

出典:Hisatsune T. et al. Effect of anserine/carnosine supplementation on verbal episodic memory in elderly people. Journal of Alzheimer's Disease.2016;50(1):149-59.

優れた抗疲労成分・イミダゾールジペプチドが持つ「抗酸化作用」「脳血流の維持・改善作用」「抗炎症作用」といった力が脳の健康維持に役立つ可能性が期待されています。

日頃から意識しておきたい「記憶力の低下」を防ぐ生活習慣

ベッドで眠る人のイラスト
西 剛志さん

西 剛志さん
(脳科学者、工学博士)

記憶力を鍛えるには特別な行動やトレーニングが必要というわけではありません。毎日の生活の中に、脳にとって良い行動や習慣をとり入れていくことが大切です。簡単にできそうなことから始めてみましょう。

睡眠には量と質の両方が重要です。どちらか一方だけでは十分な効果は得られません。

\ 良質な睡眠に大切な3つの要素 /

01 睡眠の量

6時間以上が1つの目安

※個人差は大きい

CHECK!
□ すっきり起きられるか
□ 日中に強い眠気がないか

02 睡眠の質

・部屋を暗くして眠る
・快適な温度・湿度を保つ
・夜に入浴をする
・就寝前のスマホは控える

03 睡眠のリズム

起床時刻と就寝時刻をできるだけ一定に保つ

※睡眠のリズムが整うと身体のリズムも整いやすくなる

同じ出来事を体験してもストレスを感じる人と感じない人がいますが、趣味を持っている人のほうがストレス回復度が高いという研究結果が出ています。

インプット型の趣味:動画視聴、読書 など
アウトプット型の趣味:料理、デッサン、楽器演奏、スポーツ など

ギターを弾く人のイラスト

新しいことに取り組むことで、普段使っていない脳の部位を使うことができます。

マイクを持って歌う人のイラスト

強制的にやらされるのではなく自分で選択をすると、恐怖や不安をつかさどる扁桃体の活動を抑えられます。

服を選ぶ人のイラスト

運動をすると、血流が改善され、海馬が活性化されます。記憶力向上という観点では、激しい運動よりも、無理なく継続できる中程度から軽い運動のほうが長期的な効果につながりやすいといえます。

認知機能向上に効果的な方法として注目されているのが、体を使うことと脳を使うことを組み合わせて行う「デュアルタスク」。認知機能を鍛える手段として数多くの研究で効果が確認されています。

デュアルタスクの例。料理や歯磨きをしながらオーディオブックを聴く、本を読みながら足踏みをする、歩きながら計算をする

もの忘れ疲労 まとめ

  • 記憶力低下の原因は「年のせい」だけじゃない
  • 記憶力は、日々の生活習慣を見直すことで改善できる可能性が高い
  • 記憶力アップにつながる栄養素、そして、脳への刺激になる行動を積極的にとって、いつまでも若々しい脳を保ちましょう