もの忘れ疲労<第2回>記憶力の低下につながる5大要因を徹底解説

取材・記事原案作成:Wellulu https://wellulu.com/
記憶力の低下につながる5大要因を徹底解説
記憶力は、生まれつき備わった能力だけで決まるのではなく、普段の生活習慣などとも深く関わっています。記憶力に影響を及ぼす5つの主な要因について解説します。

Teacher西 剛志(にし たけゆき)さん
脳科学者、工学博士(分子生物学)
東京工業大学大学院生命情報専攻修了。2002年に博士号を取得後、特許庁を経て2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。脳科学的なノウハウをこれまで企業や教育機関向けに4万人以上に提供。
テレビや雑誌など各種メディアに多数出演し、『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)、『1万人の才能を引き出してきた脳科学者が教える「やりたいこと」の見つけ方』(PHP研究所)等、著書はシリーズ累計45万部を突破。
要因 1脳疲労
情報過多が引き起こすスマホ脳疲労
スマートフォンなどから一度に多くの情報が入ってくると、脳はその処理に疲れ、機能が低下してしまいます。その結果、記憶力や判断力に問題が生じたり、集中力が続かなくなってうっかりミスが増えたりすることも。
脳の疲労を原因とする記憶力低下などには若い人でも注意が必要です。放置していると、疲れやすさ、頭痛や肩こり、睡眠の質の低下など体に影響が及ぶこともあります。

ワーキングメモリ(作業記憶)
一時的に保存した情報を整理して行動につなげる「作業机」のようなもの
「作業机」の広さには限りがあるため
短時間に多くの情報が入ってくると……
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脳は情報処理をし続けるけれど整理整頓が追いつかない
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脳が疲労し機能低下を起こす
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記憶力の低下などの問題が発生

西さん
長時間のデジタル作業や情報過多によって脳が処理しきれない状態(脳疲労)になると、記憶の定着や想起に悪影響を及ぼします。
こまめに休憩をとったり、デジタルデトックスをとり入れて脳を休ませたりすることが、疲労回復と記憶力維持につながります。
CHECKあなたは大丈夫!? スマホ脳疲労を起こしやすいのはこんな人
- スマホをいつも手元に置いている
- 少しでも時間が空くとスマホを触ってしまう
- 目的もなくスマホでメールのチェックやWEBサイトの閲覧をしてしまう
- 毎晩、ベッドや布団の中でもスマホを触る
- ちょっとした疑問でも、すぐにスマホで検索する
- 外出時にスマホを忘れると不安でたまらない
MEMOデジタルデトックスでスマホ脳疲労を解消しましょう
デジタルデトックスとは、スマホやパソコンなどのデジタル機器に触れずに過ごす時間をつくることで、脳へのストレスや疲労を軽減しようという取り組みのことです。自分なりのルールをつくるなどして、脳の疲労回復を図りましょう。
必要のない通知はオフに
通知音が鳴るとついスマホに触ってしまうため、必要のないアプリの通知はオフにしておきましょう。
使わない時間を決める
就寝1時間前からはスマホを見ないなどと決めて、手元に置かない時間をつくりましょう。
休日は絶好のチャンス
半日だけでもよいので、スマホを見ずに趣味などに没頭して過ごせば、心身ともにスッキリ。
要因 2自律神経の乱れ
脳の血流に悪影響
寒暖差や気圧の大きな変化、精神的ストレス、不規則な生活などによって引き起こされるのが自律神経の乱れ。自律神経のバランスが乱れると全身の血流が悪化し、脳への血流も少なくなります。

西さん
過度なストレスは、ワーキングメモリに悪影響を及ぼす要因の1つです。強いストレスを抱えている日は仕事がはかどらなかったり、もの忘れが増えたりしたことがある人もいると思いますが、これは「ワーキングメモリが低下しているため」と考えられます。
要因 3睡眠不足
記憶と睡眠は密接に関係
記憶の整理・定着は睡眠中に行われるため、睡眠不足が続くと新しい情報が記憶として残りにくくなります。頭で覚えるエピソード記憶や意味記憶も、体で覚える手続き記憶も、睡眠をとることで定着します。睡眠中にはノンレム睡眠とレム睡眠が交互に繰り返されていますが、どちらの段階も記憶の整理・定着に重要な役割を果たしていることがわかってきています。
学習後に深い睡眠をとると成績向上率がアップ!
1997年、ドイツのバンベルク大学にて、参加者に単語を記憶してもらい、3時間後にテストを行うという実験が行われました。実験の結果、最も良い成績だったのは、学習した後に深い睡眠をとったグループでした。
出典:Plihal W. et al. Effects of early and late nocturnal sleep on declarative and procedural memory. Journal of cognitive neuroscience.1997 Jul;9(4):534-47.

要因 4加齢
脳の体積は年を重ねるとともに減少
一般的に、脳の萎縮は30代から少しずつ始まると考えられています。60代半ばになると明らかな萎縮が確認でき、海馬の機能も低下するとされています。また、記憶力と関係の深い集中力のピークは43歳前後といわれ、記憶力のピークもこのあたりと考えられています。ただし、いずれも個人差が大きいことは確かです。
要因 5栄養不足
記憶力・集中力維持にはバランスの良い食事を
脳は、特に多くのエネルギーを消費する器官。栄養が不足すると認知能力が低下するといわれています。記憶力や集中力を維持するためには、さまざまな栄養素をバランスよく摂取することが不可欠です。

西さん
血糖値を緩やかに上昇させる「低GI食品を中心とした食事をしている人のほうが記憶力が高い」という研究結果も報告されています。
出典:Benton D. et al. The delivery rate of dietary carbohydrates affects cognitive performance in both rats and humans . Psychopharmacology (Berl). 2003 Feb;166(1):86-90.
ADVICE気をつけたいもの忘れとは

名前が出てこない・顔を思い出せないといったもの忘れは加齢による自然な変化であることが多いですが、ヒントを与えても思い出せない場合は注意が必要です。また、出来事の一部を忘れているのではなく、その出来事が完全に抜け落ちている場合も要注意。自分では気づきにくいケースも多いため、周囲の人から違和感を指摘された場合は、早めに受診を検討したほうがよいでしょう。(西さん)


