旅は脳にいいはずなのに!トラベル疲労7つの原因

旅は脳にいい!

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旅行に行くと脳が活性化する

旅行は、計画を立てている段階からワクワクして楽しいもの。「どこに行こうか、何を食べようか」と調べ、プランを練っているだけでも、多幸感や意欲に関連するドーパミンというホルモンが多く分泌されることがわかっています。
また、仕事などに追われる日常から離れてリフレッシュできる旅行には、ストレスを軽減する効果もあります。
さらに、これまで行ったことのない場所や新たな体験が脳への良い刺激になるだけでなく、歩き回るなどして普段より身体活動が増える、出会った人たちとコミュニケーションをとるなど、旅先には脳を活性化させる要素がたくさんあるのです。

旅をすればするほど認知症リスクが低くなる?!

知らないことを知りたいと思ったり新たなことにチャレンジしたりするような好奇心をはじめ、運動、コミュニケーションと、旅行には認知症予防に重要といわれていることがギュッと詰まっています。
旅行が認知症予防に役立つ可能性を示す研究結果も出ており、その研究によれば、物事に対して幅広く関心を持つ性格の人は、旅行に行く頻度が上がるほど「主観的幸福感」も高くなっていることがわかりました。「主観的幸福感」が高いと認知症のリスクは低くなるため、旅行には認知症予防効果があると考えられるのです。

出典:Totsune,T..Matsudaira,I.,Taki,Y:Curiosity-tourism interaction promotes subjective wellbeing among older adults in Japan, Humanities and Social Sciences Communications, 8:69(2021)

トラベル疲労7つの原因

楽しかったけれど、やっぱり旅は疲れる

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旅行は楽しかったけれど、英気を養うどころか帰ってきたらぐったり……………そんな経験は多くの方がお待ちではないでしょうか。
旅行には、脳に良い効果をもたらす要素と同じように、疲労につながる要素もたくさんあります。家に着いたらぐったりしてしまうトラベル疲労は、そんな要素が積み重なって生み出されるのです。
旅行につきものの疲労を回避するためにも、何が疲れにつながってしまうのか、まずはその原因を見ていきましょう。ここでは代表的な7つの原因を取り上げます。

原因1 ついとってしまう確認行動は警戒心の表れ

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宿泊先に到着したら、まずは館内や宿の周辺を見て回るという方も多いと思います。そのような行動をしてしまう理由は、楽しくてテンションが上がっているからだけではありません。初めて寝る場所が安全かどうか、外敵や危険が潜んでいないかを無意識のうちに確認しているのです。
その行動の元は、動物に備わっている防御本能。知らない場所へ来たということはつまり、慣れた「ホーム」から「アウェイ」空間に身を置いていることになります。不安を伴うアウェイな状況では、自律神経のうち、体を戦闘態勢にする交感神経の緊張が続き、疲労が発生しやすくなります。

原因2 移動

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旅に出るということは、移動をすること。自分で運転する自動車、バスや列車、飛行機など、移動手段が何であれ、旅先が遠方であれば移動にも長い時間がかかり、疲労が生じます。

車の運転はまるでスポーツ

車を運転しているときには、視覚や聴覚で得た多くの情報を脳で処理しながら、アクセル・プレーキやハンドル、さらにナビなどの機器類を最適なタイミングで操作しています。必要な動作をとっさの判断で行い続けるのは、まさにスポーツと同じなので、運転が長時間に及べば疲れるのは当然です。
普段あまり運転をしない場合や渋滞が発生している場合には、精神的なストレスも加わり、疲労が上積みされます。

長時間同じ姿勢でいると危険

車や列車、飛行機などの座席に座っているとき、脚の付け根はほぼ直角に曲がった状態。すると、血流が悪くなり、血液循環などをコントロールしている自律神経に負担がかかります。さらに、老廃物も排出されにくくなって、疲労が蓄積します。
長時間座ったままで血流が滞り血栓ができると、急に立ち上がったときなどに血栓の一部が肺動脈に飛び、いわゆる「エコノミークラス症候群」を発症する危険もあります。

原因3 アクティブになり過ぎ

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「旅行中は「あれもしたい」「ここにも行きたい」と、思いのほかたくさん動き回ってしまうもの。「せっかく来たのだから」という気持ちがアクティブさに拍車をかけます。

いつもより多く歩きがち

観光スポットを訪れたり土産物屋を見て回ったりしていると、意識しないうちにたくさん歩いてしまいます。空港内や駅の構内でのちょっとした移動も含めると、普段の平均歩数をずっと上回ることも珍しくありません。動き回っている最中には、気分が高揚していることもあってなかなか気づかないかもしれませんが、一息ついたときに疲れはドッと押し寄せます。日頃あまり運動をしていなければなおさらです。

予定を詰め込み過ぎる

旅行に出かけたときには、つい欲張って予定を詰め込みたくなるものです。「なかなか来られないところだから」「行っておけば(食べておけば)よかったと後悔したくないから」などという気持ちもあって、どうしても無理をしてしまいがちですね。
しかし、気づけばスケジュールは分刻みになり、休憩をする時間もろくにとれなくなっていませんか?アクティブに動き続けていれば、疲れ果てるのは当然です。

原因4 温泉

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熱いお湯に繰り返し入ると自律神経がフル稼働してヘトヘトに

ようやく宿に到着したと思ったら、まずは温泉へ。熱いお湯に、長い時間、しかも繰り返し入るという方も多いでしょう。
しかし、42℃以上の熱いお湯に肩まで浸かる全身浴をすると疲れることは、実験によって判明しています。

原因5 ごちそう

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食事やお酒の量が消化能力を上回れば体は疲れる

地元グルメを食べ歩き、宿ではおいしいごちそうにお酒も進みますが、食べた量が消化能力を上回ると、消化器官にさまざまな指令を出している自律神経への負担も大きくなります。
また、アルコールは、寝付きこそ良くしてくれるものの、夜中に目が覚めるなど睡眠の後半を障害することがわかっており、結果的には睡眠の質を下げるといえます。

原因6 眠れない

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いつもと違う場所だと寝付きが悪くなったり眠りが浅くなったりするのは、外敵がいつ襲ってくるかわからない環境と認識して、防御本能が働くから。着るものや寝具も違うため緊張は一層高まり、睡眠の質が下がりやすくなります。
そんな環境にあっても「いつでもどこでも眠れる」という方は”寝落ち”しているだけかも。普段から睡眠が不足している可能性が高いので注意しましょう。

原因7 人

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常に同行者と過ごすことや人混みで“人疲れ”が発生

誰かと一緒に過ごしているとき、相手の表情などから気持ちを読み取ったり、相手の言葉に対して最適な反応を返したり、脳は高度な処理を行っています。そのため、どんなに楽しくても、誰かとずっと一緒という状況は疲れるものなのです。
また、出かけた先が混雑していると、人との距離が物理的に近くなって“人疲れ”につながることもあります。

vol.64【夏】の記事