特集:chapter2 低栄養による"なんとなく疲労”
疲れているのは脳だった
疲れる理由に心当たりがないのに「なんとなく疲れている」と感じることはありませんか?
その原因は〝脳の疲れ〞かもしれません。実は、体の中で最も疲れるのが脳だといわれています。
脳には自律神経の中枢があり、環境や状況の変化に応じて、心拍や血圧、体温などを24時間休みなく調節しています。
体に負担がかかる環境に置かれたり精神的なストレスが高まったりすると、自律神経が忙しく働き、脳が疲れます。すると、「休息をとりなさい」という警報として全身に疲労感が生じるのです。
つまり、私たちが自覚している〝なんとなく疲労〞は、脳の疲労なのです。
Chapter2 低栄養による”なんとなく疲労”
*低栄養とは…エネルギーやたんぱく質などの栄養が不足し、健康な体を維持することができない状態のこと
低栄養*から始まる悪循環
筋肉の衰えが”なんとなく疲労”に!?
食が細くなりがちな高齢者や、偏食や過度なダイエットをする人、ストレスによる食欲不振で食事を十分にとれない人などに多く見られる低栄養。低栄養状態が続くと、筋肉量を維持できず、身体機能の低下や疲れやすさにつながります。
その結果、活動量が減って食欲がなくなり、栄養がより不足するという悪循環に陥ることも。放っておくと、要介護や寝たきり状態を招くロコモティブシンドローム(運動器症候群)につながりかねません。
セルフチェック
筋力の低下が進んでいませんか?
1つでも当てはまれば要注意です!
全身の筋肉の6~7 割が下半身にあります。低栄養などで筋肉量が減少すると
立つ・歩くといった動きを行うための身体能力が低下する
ロコモティブシンドロームに陥ることもあるので注意が必要です。
CHECK.01
靴下をはくとき
片脚立ちできない
CHECK.02
家の中で
つまずくことがある
CHECK.03
手すりがないと
階段を上がれない
CHECK.04
掃除や布団の
上げ下ろしなどがつらい
CHECK.05
持ち帰るのが
難しいので
たくさん買い物できない
CHECK.06
15分続けて
歩くのが難しい
CHECK.07
横断歩道を
青信号の間に
渡りきれない
悪循環を断ち切るのは“バランスの良い食事”と“適度な運動”
“なんとなく疲労” がさらなる悪循環へと進まないようにするには、やはりバランスの良い食事と適度な運動が大切。「それがなかなか難しい……」という方に、日常生活を改善するヒントをご紹介します。
肉をガッツリ食べるなんてできないという人に
>>イミダペプチド成分が豊富なさっぱりとした鶏のむね肉がおすすめ
たんぱく質は摂りたいけれど、脂っこいものがあまり食べられなくて…… という方におすすめなのが鶏むね肉です。たんぱく質が豊富で筋肉を維持することに役立つ上、あっさりと食べられて低カロリー。また、優れた抗疲労作用を持つイミダペプチド成分が豊富に含まれているので、疲労軽減にも効果的です。
そのほかにも、エネルギー代謝をサポートするビタミンB₆、睡眠の質を高めるトリプトファンなども多く含まれており、〝なんとなく疲労〞でお悩みの方におすすめです。
大切なのはたんぱく質とエネルギーの比率だった!
筋肉をつくるためには、材料となるたんぱく質のほかにエネルギーが必要。また、エネルギーは主に脂質・糖質・たんぱく質の3つからつくられますが、脂質・糖質が不足すると、本来筋肉の材料になるはずのたんぱく質までエネルギー産生に使われることも。かといって、たんぱく質は摂りすぎても体の負担となります。3つの栄養素をバランスよく摂ることが重要なのです。
あまり量を食べられないなら
>>食事の回数を増やす、間食をするなどして必要量を摂取
1回の食事であまり量を食べられないという人は、1日3食にこだわらずに、昼食を2回に分けてとるなど食事の回数を増やして、1日に必要な栄養をとれるよう心がけましょう。食事に、豆腐やサラダチキン、ゆで卵などを足すと、たんぱく質を多く摂取できます。また、間食として、チーズ・ヨーグルトなどの乳製品やカステラ、大豆製品などをとることもおすすめです。最近は、たんぱく質(プロテイン)が豊富に含まれているお菓子や栄養補助食品も増えているので、上手に活用すると良いでしょう。
栄養を効率よくとるならスープがおすすめ
野菜などの食材を煮込んで作るスープには、食材から溶け出した栄養素がたっぷり。それらの栄養素は、加熱されることで体に吸収されやすくなっています。胃や腸への負担も少ない上、栄養や水分を効率よくとることができるので、食欲がないときにもおすすめです。
そんなに動けない、動きたくない! という人は
>>まずは「ながら運動」を始めてみよう!
料理をしながらかかとの上下運動 目標30回
1.足を肩幅に開き、
まっすぐに立ちます。
2.かかとをゆっくり上げ、
つま先立ちをします
3.かかとを
ゆっくり下ろします
テレビを見ながらひざ伸ばし 目標/左右10〜20回ずつ
1.いすに背筋を伸ばして
腰掛けます。
2.片脚のひざをゆっくりと
伸ばします。
3.まっすぐになったら
足首を反らします。
4.ゆっくりと
元に戻します。
vol.59【春号】の記事
- 特集:chapter4"なんとなく疲労"と肌
- 特集:chapter3 "なんとなく疲労"にコエンザイムQ10
- 特集:chapter2 低栄養による"なんとなく疲労”
- 特集:chapter1 "なんとなく疲労"の科学