疲労をしっかり意識してスポーツを思い切り楽しもう!

この秋に始めるなら、こんなスポーツはいかがでしょうか。

ENTRY01 登山・ハイキング

運動レベル★★★

「ゆらぎ」を感じる環境では疲れにくい

そよ風が木々の枝を揺らすとき、風の強さや木漏れ日の動きは微妙に変化します。それが人工的なものとは違う自然界の「ゆらぎ」。体温や血圧が変動するようにヒトの体にもゆらぎがあるため、自然の中では心身がリラックスし、疲労やストレスも軽減されることがわかっています。

急激な冷えや寒暖差に気をつけて

山の上では時間帯や標高によって寒暖差が大きくなるだけでなく、汗でぬれたウェアによって体温が奪われてしまう「汗冷え」を起こすことも。体温調節で自律神経を忙しくさせないためにも、適切なウェアを選び、無理のないペースを守りましょう。

ENTRY02 ウォーキング・ジョギング

運動レベル★★☆~★★★

適度な運動は疲労回復に役立つ

運動すると活性酸素が発生し「疲労因子」は増えますが、それに反応して「疲労回復物質」も増加します。そのため、負荷が大き過ぎない適度な運動を行うことで、結果的に疲労からの回復が進むといえます。

ENTRY03 ゴルフ

運動レベル★★☆

自然の中で、程よく運動

ほかの球技ほど激しく動くわけではないけれど、歩く、クラブをスイングするなど適度に体を動かすゴルフは長く続けやすいスポーツの一つ。美しい緑に囲まれてプレーをするとリフレッシュにもつながります。

休日の早朝ゴルフに要注意!

力を入れてショットする瞬間には心拍数や血圧が急上昇します。前日まで残業を繰り返していたのに早朝から寝不足のままラウンドすると、心筋梗塞など命に関わる病につながることも。健康的に楽しむためには体調管理を第一に!

ENTRY04 サイクリング

運動レベル★★☆

下半身の筋力や心肺機能をアップ

ひざなどの関節に比較的負担をかけずに下半身の筋力を強化し、心肺機能を高められるのがサイクリングの魅力の一つ。通動や買い物など、ちょっとした移動を車から自転車に変えて、風を切る爽快感を味わってみては。

紫外線も疲労の原因に。秋冬も対策を

紫外線を浴びると体内で活性酸素が発生するため疲労が生じます。紫外線のうち9割以上を占める紫外線A波は、最も弱くなる冬でもピーク時の2分の1ほども届いています。一年を通して日焼け止めやサングラスで対策をしましょう。

ENTRY05 ヨガ・ストレッチ

運動レベル★☆☆

血行がよくなり、自律神経も整う

自律神経のバランスが乱れると血行が悪くなりますが、逆に、固まった筋肉をほぐし血行を促すと自律神経が整いやすくなります。ヨガやストレッチでは、意識して深い呼吸を行うため、より自律神経を整える効果が期待できます。

乾燥しやすい季節は汗をかかなくても脱水に注意

空気が乾燥している秋冬には、皮膚や粘膜などから蒸発する水分の量が多くなります。つまり、気づかないうちに体からたくさんの水分が失われるということ。たとえ汗をかいていなくても、水分補給をこまめに行う習慣をつけましょう。

※【運動レベル】
運動強度を、身体活動の強さが安静時の何倍に相当するかを表す「メッツ」を参考に、独自に★3.0未満、★★3.0~5.0未満、★★★5.0以上の3段階に分けて表示/ストレッチング2.3、ヨガ2.5、歩行(平地、75~85m/分、ほどほどの速さ、散歩など)3.5、楽に自転車に乗る(8.9km/時)3.5、自転車に乗る(≒16km/時未満、通勤)4.0、ゴルフ(クラブを担いで運ぶ)4.3、山を登る(0~4.1kgの荷物を持って)6.5、ゆっくりとしたジョギング6.0、ジョギング7.0/

参考:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

適度な運動強度って?

40歳未満

運動中、息は弾むが切れない
汗がじんわりにじむ程度

40歳以上

運動中会話が交わせる程度

疲労の専門家に聞きました!
高いパフォーマンスのカギは回復にあり!

フィジカルコンディショニングプロダクション合同会社
代表 栗田興司さん

スポーツ科学分野の研究とパーソナルトレーナー活動で、予防医学の普及に取り組む。
一般社団法人日本健康予防医学会常任理事。
健康スポーツ科学修士。

スポーツの練習やトレーニングをすると、体力や能力が向上します。しかし、同時に疲労もたまるため、トレーニング直後は、能力は上がっているのに疲労によってパフォーマンスが落ちている状態と考えられます。なるべく早く疲労を回復することで、良いパフォーマンスを発揮できるのです。

疲労と上手に付き合いながらスポーツを続けるためのポイント

❶スポーツ後には速やかに栄養補給と休息を

スポーツ疲労から早く回復するために何より大切なのは、やはり栄養と休息です。運動した後は、エネルギー源となるグリコーゲンをはじめ、多くの栄養素が消費された状態。バランスの良い食事と質の良い睡眠をとることで回復が早くなります。

❷クロストレーニングもおすすめ

体の一部分だけを使い続けたり、鍛える筋肉や機能が偏り過ぎるのは良くありません。ランニングを行っているなら水泳を取り入れるなど普段使っていない部位を動かすようなトレーニングを行うと、けがや故障のリスクを減らすことにつながります。

おすすめはピラティス

心拍数をほとんど上げずにインナーマッスルを鍛え、姿勢や体のバランスを整えることができます。

❸姿勢やフォームを改善して運動効率を高めましょう

姿勢やフォームが崩れて運動効率が悪いときは、タイヤの空気が減った自転車をこいでいるような状態。体へのストレスが大きくなり、疲労しやすくなります。姿勢やフォームを改善して運動効率を良くすると、パフォーマンスが上がり、体を動かすことを快適に感じるはず。スポーツを楽しく続けることにもつながりますよ。

vol.65【秋】の記事